業務フロー図ライブラリ Q Business Process Management

出典: Q-BPM

TOC (Theory of Constraints) とは、最も脆弱な部分が目標達成に向けての全体の制約条件となり、重点的に改善するべき対象になるという理論。日本語では、「制約理論」または「制約条件の理論」などと言う。

目次

概要

途中一部分だけ細くなっているような水路があるとすると、その水路全体の単位時間当たりの流水量は細い部分の流水量になる。細い部分以外のどの部分をさらに太くしても水路全体の流水量は増加せず、細い部分を太くすることにのみよって水路全体の流水量も増加する。同じことが、ビジネスにおいても言えるというのがTOCである。

生産スピードを上げるには、生産工程の最も遅い箇所の作業スピードを上げなければならない。それゆえ、企業の業績を上げるためには、個別の改善を積み上げるのではなく、全体の中でどこが制約条件になっているのか特定し、重点管理することが必要になる。 具体的な手順は以下の通り。

  1. 制約(ボトルネック)を特定する。
  2. その制約になっている箇所が100%働くようにする。
  3. 他の全プロセスを制約条件(ボトルネック)になっている箇所に奉仕させる。
  4. 制約条件になっている箇所の能力を底上げする。
  5. ボトルネックの能力が向上し制約条件でなくなった時、他の箇所が制約条件になっているので、ボトルネックの特定から新たに始める。

1970年代後半にイスラエルの物理学者エリー・ゴールドラット(Eli Goldratt)博士により提唱された。

BPM と TOC の関係

ビジネスプロセス上のボトルネックのイメージ
ビジネスプロセス上のボトルネックのイメージ

TOCはもともと生産スケージュール管理を対象としていたが現在では収益最大化の経営革新手法にまで発展しており、BPMにおいてもTOCの考え方は非常に重要である。ビジネスプロセス上のどの作業がボトルネックになっているのか把握することで、効果的な改善活動を行うことができる。 具体的には、ビジネスプロセスについて

  1. 「何を変えればよいか( What to change? )」
  2. 「何に変えればよいか( What to change to? ) 」
  3. 「どう変えればよいか( How to cause the change? )」

の三つの問いの答えを見つける。簡単な手順は以下の通り。

ビジネスプロセスの評価

TOCの考え方からビジネスプロセスを評価するためのポイントは以下の二点である。

  • 単位時間あたりに生み出す付加価値(「アウトプット」-「インプット」)
TOCでは、「アウトプット」から「インプット」をひいたものを「スループット」と呼び「スループット」を増大させることで利益を増大させる。
単位時間当たりの「スループット」が少ない場合、ビジネスプロセス上のどの箇所が時間を消費しているのか特定し、時間短縮を図る。それによって、ビジネスプロセスを一回実行するのに必要な時間は削減され、一定時間内でより多くの回数ビジネスプロセスを実行でき、より多くの「スループット」が生まれる。
多くの付加価値を創造するが、実行に多くの設備や人材を必要としたり、頻繁にトラブルを発生させたりするようなビジネスプロセスは結果的に多くの利益は生まない。実行に必要な資源面でのボトルネックを改善することで、生み出される利益は増大する。

まとめると、実行に多くの資源(例えば労働力や設備など)を必要とせず、単位時間でより多くのスループットを生みだすビジネスプロセスは良いビジネスプロセスであると言える。

ボトルネック特定

三つの問いの内最初の問い「何を変えればよいか( What to change? )」の答えを探す。個々の問題は、因果関係をたどっていくと根本的な原因によって引き起こされる。その根本的な問題こそ制約であり、それを解決することで個々の問題は解決する。したがって、根本的な問題こそ「何を変えればよいか( What to change? )」の答えになる。 具体的には、以下のような方法で行う。

  1. ビジネスプロセスをモニタリングした結果から、設定したKPIを達成していない作業(アクティビティ)やビジネスプロセスなど好ましくない状況や結果を複数(5~10 個)列挙する。
    ビジネスプロセス上の好ましくない状況や結果
    ビジネスプロセス上の好ましくない状況や結果
    例えば、
    • 「他部局から資料が回ってくるのが遅いため作業を進められずオーバータイムしアラートがしばしば発生した」
    • 「複雑な意思決定プロセスを踏まなければならず作業がなかなか進まなかった」
    • 「会議室を使おうとすると一杯」
    • 「クレーム数が既定値を超えアラートした」
      現状問題構造ツリー
      現状問題構造ツリー
    • 「ビジネスプロセスの業務順序を守らない人が多くたびたびアラートが発生した」
    • 「上司からの納期厳守のプレッシャーが強い」
    • 「トラブルが多発する」
    など、具体的な不満や問題を列挙する。
  2. 飛躍を補いながら好ましくない状況の因果関係を確認していく。(右図参照)
    列挙した問題だけでは因果関係が十分でない部分を補う。長方形に囲まれた部分は補った部分。
  3. 因果関係から最も根本にある問題を把握する。
    企業が目標を達成するのにボトルネックとなる要素は三つのカテゴリーに分類できる。
    • 市場制約・・・供給超過の状況。市場に需要がなく、在庫の処分量や余剰の原材料、稼働していない設備が増加する。
    • 物理的制約・・・需要超過の状況。原材料や設備、人手が足りていない。
    • 方針制約・・・社内の規定や制度や組織構造などによって行動が制約される状況。
    この場合、ボトルネックになっているのは「複雑な意思決定プロセス」と「情報共有の不足」(共に方針制約)であると判断できる。

ビジネスプロセス上でボトルネックの特定

根本的な問題である「複雑な意思決定プロセス」と「支援ツールの不足」を解決することで効率的な改善を行う。実際には、両方に係るビジネスプロセスを再構築する。ビジネスプロセスの他の部分は「意思決定」と「情報共有」の効率化を支援させる。他の部分の効率が低下したとしても、ビジネスプロセス全体での効率化を図る。

  • 意思決定プロセスの改善
意思決定プロセスに係るビジネスプロセス図で決定権限の所在や情報フローを確認し、改善策を検討する。
  • 情報共有
ビジネスプロセス図で情報フローの流れを確認し、改善策を検討する。支援ツールの導入も考えられる。

この段階を経て、初めて残りの二つの問い「何に変えればよいか( What to change to? ) 」 、「どう変えればよいか( How to cause the change? )」の答えを探すことになる。

改善のモニタリング

BPMは継続的な改善活動であるので、モニタリングは不可欠になる。モニタリングは改善の成果の観測だけでなく、次のボトルネックの発見の役割も担う。 このようにしてPDCAサイクルを取り入れる。

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