工事進行基準とは、工事進捗度に応じて工事の収益や原価を分散的に計上する会計基準。
目次 |
工事進行基準の概要
| 売上計上基準とは |
|---|
| 商品の受注や納入のどの時点で売上を計上するのかという基準。 |
工事進行基準とは、工事の進行度合いに応じて売上を少しずつ計上していく売上計上基準である。工事進行基準 に対して、
- 工事完成基準
というものもあり、これは完成した時点で売上を一括して計上する会計基準である。
これまでは、日本では工事進行基準か工事完成基準の選択型で、工事完成基準が採用されることが多かった。しかし、複数の会計基準の混在による混乱回避や国際会計基準に準拠するために、対象領域では、選択適用を廃止し工事進行基準が採用された。
工事進行基準の適用
工事進行基準の適用については、企業会計基準委員会が公開している
- 企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」
- 企業会計基準適用指針第18号「工事契約に関する会計基準の適用指針」
によって定められている。
対象
受注ソフトウェア開発、造船、建築、機械類(一部)などが工事進行基準の対象になる。
時期
3月決算の会社の場合、2009年4月から始まる案件に対して工事進行基準の対象になる。
案件条件
上の対象・時期について該当する案件について、下記の3つが明確になっている案件に工事進行基準を適用する。
- 工事収益総額・・・工事契約の対価。事前の契約によって対価が決定し、工事を完成させる能力がある。
- 工事原価総額・・・工事が終了するまでの原価の総額。工事中の実際の原価と比較し、適宜見直しを行う必要がある。
- 工事進捗度・・・工事の進捗度合い。ある時点でどのくらい工事が進んでいるかを客観的に把握する必要がある。
進捗率の把握方法
- 原価比率法・・・見積総原価(全体にかかる予定費用)に対して、その時点でかかった費用の割合で進捗度を測る方法。
- EVM・・・全体を複数の工程に分割し各工程で必要な資源とその成果物を算出し、実績と比較して進捗度を測る方法。
工事進行基準のメリット・デメリット
メリット
営業
- 曖昧な契約によるトラブルの減少
- 開発中の顧客からの仕様追加や仕様変更の要求の減少
開発
- 機能追加などによる納期遅れの減少
- 開発者の残業の低減、職場環境の改善
全社
- 赤字プロセスが減少する
デメリット
営業
- 詳細な説明が求められる
- 契約の時点で仕様に関する合意形成に負担がかかる
開発
- コストの詳細な見積もりに大きな負担がかかる
- 進捗率の把握に負担がかかる
全社
- これまでの工事工程を見直す必要がある
工事進行基準導導入の対策としてのBPM
工事進行基準を実施するには、
- 業務プロセスの標準化
- 迅速な進捗の把握
- 精度の高い見積もりの作成
の3項目が必須になる。
これらの項目は、ビジネスプロセスをマネジメントするBPMとの関連が深い。 BPMを支援する業務実行支援系のソフトウェアでは、
- 業務がプロセスとして明確に定義される(業務プロセスの標準化)
- プロセスの実行がモニタリングできる(迅速な進捗の把握)
の2項目が満たされる。 また、各タスク実行において必要になるリソースや実行時間もプロセス定義の段階で予め決定されているので、プロセスの実行にどの程度のコストが必要となるのか精度の高い見積りが可能になる(精度の高い見積もりの作成)。
工事進行基準を導入するには、これまでの会計方法を変更しなければならず、負担が大きくなってしまう可能性がある。しかし一方で、「業務の可視化」を推進する機会と捉え、業務プロセスのマネジメントを同時に開始させることができ、すでに開始している場合は負担を小さくして導入することもできる。




