内部統制システムとは、業務の適正さを確保する活動が企業のなかで実施できるような環境や体制のこと。
内部統制システムの概要
財務諸表の信憑性や業務の有効性・効率性を確保するために、企業には内部統制を実施することが求められている。この内部統制が効果的に実施されるための一連の仕組みが内部統制システムである。例えば、「財務情報に関するアクセスログを記録する」体制などは、これにあたる。
内部統制システムが構築されることで、内部統制が適切に実施できることになる。
内部統制システムを築くべき主体や内部統制システムとして築くべき体制については、会社法と会社法施行規則が規定している。
内部統制システムとして構築すべき内容
会社法の中では、直接内部統制システムという言葉を使って、内部統制システムについて言及しているわけではないが、会社法で言及されている
「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」
が一般的に言われる内部統制システムのことである。
「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制」
として築くべき体制については、「会社法施行規則」の98条と100条で規定されており、98条では取締役会が設置されていない会社での体制、100条では取締役会が設置されている会社での体制について言及している。どちらも築くべき体制は同じで、以下の9個になる。
- 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
- 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
- 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
- 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
- 当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
- 監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項
- 前号の使用人の取締役からの独立性に関する事項
- 取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制
- その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
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<会社法施行規則第98条 >
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<会社法施行規則第100条 >
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| 使用人とは |
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| 雇用契約により特定の営業主に従属し、その営業主の営業を補助する者のこと。 |
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<会社法第348条第3項> 前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
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<会社法第362条第4項 > 取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
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内部統制システム構築への対応
会社法では、内部統制システムとして構築すべき項目を挙げているにすぎず、構築水準や実施策についての規定はない。したがって、構築水準や実施策については、会社法施行に先立って商法施行規則において監査委員会の監査の遂行のために必要な事項として内部統制の構築が義務づけられていた委員会等設置会社における内部統制システムを参考にすることになる。
取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
取締役がどのように業務執行に携わったかを記録したものが必要になる。そのためには、文書管理規程作成、議事録・稟議書の作成・保存、文書管理の責任者の明示などを実施する必要がある。
損失の危険の管理に関する規程その他の体制
企業活動には、市場の変化などの外部リスクや事務処理ミスやシステムダウンなどの内部要因が存在する。それらのリスクに対応する体制を築かなければならない。そのためには、各種取引規程、決済規程などの社内規程の作成し、個々のリスクに対する対応策をまとめたもの(RCM)の作成などを実施する必要がある。
取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
企業経営の舵を握る取締役の業務が効率的に行わなければならない。そのためには、経営計画の見直しや職務権限規程の作成などを実施する必要がある。
使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
業務の実行に携わる使用人が法令や規則に則り、業務を行わなければならない。そのためには、コンプライアンスマニュアルの作成、内部統制監査部門設置などを実施する必要がある。
当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
グループ会社や子会社とともに業務を実行する場合、グループ会社や子会社も含め業務実行の適正さが確保されなければならない。そのためには、グループ会社管理・監査の既定、および、組織体制の整備などを実施する必要がある。
監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項
内部統制の評価を行う監査役は十分に職務を遂行できなければならない。そのためには、監査役事務局、監査役室等の設置などが実施される必要がある。
使用人の取締役からの独立性に関する事項
監査役だけでなく、監査役を補助する使用人についても取締役から独立していなければ適正に職務を実施できない。そのためには、人事考課・異動などに関する監査役の権限の構築などを実施する必要がある。
取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制
監査役が効果的に機能するには、取締役や使用人が業務に関して報告しなければならない。そのためには重要決定事案の報告会議の実施などを実施する必要がある。
その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
内部統制を評価する監査役が機能しなければならない。そのためには、内部監査部門・監査法人との定例会議、監査役会による外部アドバイザーの任用などを実施する必要がある。
内部統制システムを構築すべき主体
| 大会社とは |
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| 資本金が5億円以上、または負債が200億円以上の会社のこと。 |
これまでの旧商法下では義務付けの対象は委員会等設置会社だけだったが、会社法によって内部統制システムの整備が義務付けられたのは
- 大会社 (会社法第348条第4項、会社法第362条第5項により規定)
- 委員会設置会社 (会社法第416条第2項により規定)
| 委員会設置会社とは |
|---|
| 取締役会の中で監査、人事、報酬の権限が分離した会社。ガバナンスの観点から権限が分離した委員会設置会社への移行が求められている。旧法下では「委員会等設置会社」とされていたが、内容の変更に伴い会社法下では「委員会設置会社」となっている。 |
大会社と委員会設置会社の中での、実際の内部統制システム構築に対する責任について会社法の中で
- 取締役の権利義務(業務の執行:第348条)
- 取締役会の権利義務(取締役会の権限等:第362条)
が定義されており、内部統制システムにあたる
「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」
の事項は
「すべての取締役が取締役会で」
| 取締役・取締役会 |
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| 取締役は業務執行を行ったり対外的に会社の代表となったりする機関であり、取締役会は取締役によって構成される。取締役会は公開会社・監査役会設置会社・委員会設置会社では必ず設置されなければならないが、それ以外の会社での設置は任意。 |
決定することになっている。これによって、内部統制システム構築に関する責任がすべての取締役にあることになる。
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<会社法第348条第3項、第4項 > 3.前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
4.大会社においては、取締役は、前項第4号に掲げる事項を決定しなければならない。 |
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<会社法第362条第4項、第5項> 4.取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
5.大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、前項第6号に掲げる事項を決定しなければならない。 |
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<会社法第416条>
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